アゼライン酸はニキビや赤みに効果的!化粧品への配合技術とは?!
アゼライン酸という成分をご存知でしょうか?海外ではニキビや酒さの治療薬として使われている成分ですが、日本ではまだあまり知られていません。
しかし、最近では化粧品にも配合されるようになり、注目を集めています。
アゼライン酸にはどんな効果があるのでしょうか?また、化粧品への配合技術はどのように進化しているのでしょうか?
先に結論
スキンケア品に配合される場合
- 抗菌性があり、アクネ菌を減少させる。
- 日焼けによる炎症性サイトカインを減少させ、抗炎症効果がある。
- 皮脂分泌を抑え、ニキビの元となる菌の繁殖を防ぐ。

ニキビに対して非常に効果が高く、ニキビを予防・ニキビの改善の両方に使用できます。
ヘアケア品に配合される場合
- 頭皮の炎症を抑えることで、フケやかゆみを改善する。
- 皮脂の分泌を抑制し、べたつきを抑える。
- 頭皮の血行を促進し、栄養や酸素を行き渡らせる。
アゼライン酸とは
アゼライン酸は、小麦やライ麦などの穀物や酵母に含まれている天然由来の飽和ジカルボン酸です。30年以上も前から海外ではニキビの治療薬として使われています。
軽度~中程度のニキビ、非炎症性皮疹(面皰、コメド)や炎症性皮疹(丘疹、膿疱)など、広く使用されています。催奇形性は見られず、遺伝毒性試験や耐性獲得試験は陰性で、とても安全性が高いと言われています。
アゼライン酸の5つの作用とは
アゼライン酸には、主に5つの作用があります。
- 抗菌性:アゼライン酸によりニキビの発症に関係しているアクネ菌が減少し、低pH環境では抗菌性を発揮します。
- 角化抑制:アゼライン酸により、角化細胞のトノフィラメントの数や厚み、ケラトヒアリン顆粒の数が減少するという報告があり、ケラチン前駆体の合成を抑制することで角化細胞の分化に影響を与えて角化を抑制すると考えられています。
- 抗炎症性:アゼライン酸はUVBにより生じた炎症性サイトカインを減少させるなどの作用により抗炎症効果があります。
- 色素沈着抑制:チロシナーゼ活性阻害作用があり、炎症後色素沈着を抑制する効果も報告されています。
- 皮脂分泌抑制:5αリダクターゼ活性を阻害して皮脂分泌を抑制する効果が報告されています。
ニキビに対するアゼライン酸の効果とは
ニキビは、皮脂の過剰な分泌や古い角質の蓄積によって毛穴が詰まり、そこでアクネ菌が増殖することで起こります。
アゼライン酸には皮脂腺の活動を抑えたり、角化異常を抑制する作用があることから、ニキビの予防や改善に効果を発揮します。さらに、抗炎症作用や抗菌作用があるため、アクネ菌の増殖やそれによる炎症を予防する効果も期待できます。
また、ニキビができると炎症を抑えるためにメラノサイトが活動的になり、メラニンが大量に作られることがあります。その結果、褐色の色素沈着が起きてできるのが、ニキビ痕です。
アゼライン酸にはメラニンの生成を抑える作用もあるため、ニキビができた時に継続的に使用しておくと、ニキビ痕の予防にもつながります。
酒さとアゼライン酸について
酒さは、お酒を飲んだ時のように顔が赤くなる慢性的な皮膚炎です。中年以降の女性に多いのですが、はっきりした原因はわかっていません。
顔全体に赤みが拡がるタイプや、ニキビのような小さなブツブツができるタイプ、鼻の皮膚が分厚く盛り上がるタイプなど、いくつかのタイプに分かれ、治療法も症状に合わせて、レーザー治療や薬物療法などが行われます。
保険適用外にはなりますが、アゼライン酸も一部の酒さに対して有効性が認められていて、治療に取り入れられることがあります。
アゼライン酸配合の化粧品
アゼライン酸は水に溶けないので、クリームへの配合が一般的です。水に無理やり溶かそうとしても、時間が経つとアゼライン酸が沈殿するなど、快適に使えない状態になってしまいます。
最近では「アゼライン酸の誘導体」や「シクロデキストリン包接」で水に溶けるように工夫されたものもでてきました。
「アゼライン酸誘導体」で化粧水にも配合可能に
アゼライン酸はニキビにも効果が期待できる成分ですが、ニキビのできやすい方には油分たっぷりのクリームは使いたくないと考える方もいると思います。
そこで、水に溶けやすい形のアゼライン酸が開発されています。それが「アゼライン酸誘導体」です。アゼライン酸に別の分子を結合させることで、水に溶けやすくなり、化粧水や美容液などにも配合できるようになりました。
アゼライン酸誘導体は、肌に浸透した後にアゼライン酸に変化するため、アゼライン酸と同様の効果が期待できます。
アゼライン酸誘導体の一例としては、ポタシウムアゼロイルジグリシネートやアゼロイルグリシンなどがあります。
「シクロデキストリン包接」アゼライン酸化粧品の進化
アゼライン酸は刺激性が少ないと言われていますが、敏感肌の方にとっては少しでも刺激を減らしたいと考えると思います。そこで、アゼライン酸の刺激をさらに抑える技術が開発されています。 それが「シクロデキストリン包接」です。
シクロデキストリンは、環状の糖分子で、中に他の分子を包み込むことができます。アゼライン酸をシクロデキストリンで包み込むことで、アゼライン酸の刺激性を低減するとともに、安定性や浸透性を高めることができます。
シクロデキストリン包接アゼライン酸は、肌に浸透した後にシクロデキストリンから放出されるため、アゼライン酸と同様の効果が期待できます。
シクロデキストリン包接アゼライン酸の一例としては、アゼライン酸シクロデキストリンなどがあります。
アゼライン酸の使い方
アゼライン酸配合の化粧品を使うときの注意点やコツを紹介します。
– アゼライン酸は効果が出るまでに時間がかかることがあります。最低でも4週間以上は使い続けるようにしましょう。
– アゼライン酸は日焼け止めと併用することができます。日中は日焼け止めを塗って、紫外線から肌を守りましょう。
– アゼライン酸は他の成分との併用も可能ですが、刺激性のある成分と一緒に使うと肌に負担がかかることがあります。例えば、過酸化ベンゾイルなどは、アゼライン酸と同時に使わないほうが良いでしょう。使う場合は、時間をずらして使うか、肌の様子を見ながら慎重に使いましょう。
– アゼライン酸は妊娠中や授乳中でも安全に使えると言われていますが、念のために医師に相談してから使うようにしましょう。
まとめ
アゼライン酸は、ニキビや酒さ、脂漏性皮膚炎などの肌トラブルに効果が期待できる成分です。 海外ではニキビの治療薬として使われていますが、日本では化粧品に配合されています。
アゼライン酸は刺激性が少なく、妊娠中や授乳中でも使えるというメリットがあります。
最近では水に溶けやすいアゼライン酸誘導体やシクロデキストリン包接アゼライン酸などの技術も開発されており、化粧品への配合技術も進化しています。
アゼライン酸は効果が出るまでに時間がかかることがありますが、根気よく使い続けることで、肌の状態を改善することができるでしょう。
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