今回は、シャンプーやボディソープなどに配合されている成分「コカミドプロピルベタイン」について解説します。
安価な製品から少し高めの製品まで、様々な製品に使用される界面活性剤です。
他の原料と組み合わせて使用することで効果を発揮しますので、一緒に配合されている成分と合わせて確認するのが良いです。
先に結論
スキンケア品に配合される場合
- 皮脂や汚れを包み込んで浮き上がらせ、洗い流す。
- 他の洗浄成分と組み合わせることで、クリーミーで豊かな泡を作る。
- 陰イオン界面活性剤と併用すると、泡立ちをさらに良くし、泡の質も柔らかくする。※ラウリルやラウレスが含まれる成分
- 洗浄後の乾燥を防ぎ、肌を柔らかく保つ。
ヘアケア品に配合される場合
- 頭皮や髪についた皮脂や汚れを包み込んで浮き上がらせ、洗い流す。
- 弾力のある豊かな泡立ちを作り、汚れを落としやすくする。
- 陰イオン界面活性剤と併用すると、泡立ちをさらに良くし、泡の質も柔らかくする。※ラウリルやラウレスが含まれる成分
- 髪を柔らかく滑らかにし、洗浄後のきしみを防ぐ。
コカミドプロピルベタインとは
コカミドプロピルベタインとは、ヤシ油から得られる脂肪酸と、脂肪酸アミドアミンを合成することによって得られる両性界面活性剤です。
両性界面活性剤とは、水と油を混ぜることができる成分のことで、酸性やアルカリ性の環境によって性質が変わります。
コカミドプロピルベタインは、酸性の環境では陽イオン(プラスの電荷を持つ)に、アルカリ性の環境では陰イオン(マイナスの電荷を持つ)になります。
このように、コカミドプロピルベタインは、さまざまなpHに対応できる柔軟な成分です。
コカミドプロピルベタインの効果
コカミドプロピルベタインには、以下のような効果があります。
– 起泡・洗浄効果
– 可溶化効果
– 刺激緩和効果
– コンディショニング効果
それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
起泡・洗浄効果
コカミドプロピルベタインは、泡立ちがよく、汚れを落とす力があるので、シャンプーやボディソープなどの洗浄製品によく使われます。
特に、陰イオン界面活性剤と併用すると、泡立ちがさらに良くなり、泡の質も柔らかくなります。
陰イオン界面活性剤とは、ラウリル硫酸ナトリウムやラウレス硫酸ナトリウムなどの成分のことで、洗浄力が高い反面、刺激性も高いという特徴があります。
コカミドプロピルベタインは、陰イオン界面活性剤の刺激性を和らげる効果もあるので、洗浄力と刺激性のバランスをとることができるのです。
可溶化効果
コカミドプロピルベタインは、水に溶けにくい成分を水に溶けやすくするという可溶化効果もあります。
特に、陽イオン界面活性剤を可溶化することができます。陽イオン界面活性剤とは、セテアリルアルコールやベヘントリモニウムクロリドなどの成分のことで、髪の毛にコーティングする効果があります。
コカミドプロピルベタインは、陽イオン界面活性剤と混ぜることで、髪の毛にうるおいやツヤを与えることができます。
刺激緩和効果
コカミドプロピルベタインは、肌に対する刺激が少ないという特徴があります。 赤ちゃん用のシャンプーやボディソープにも配合されることがあるほど、マイルドな成分なのです。
陰イオン界面活性剤の刺激性を緩和する効果もありますので、肌や髪に優しい洗浄製品を作ることができます。
コンディショニング効果
コカミドプロピルベタインは、髪の毛のコンディショニング効果もあります。
これは、両性界面活性剤と陰イオン界面活性剤が合わさることで、コアセルベートという成分が生成されるためです。コアセルベートは、髪の毛に付着して、滑らかさやまとまりを与える効果があります。
コカミドプロピルベタインは、陰イオン界面活性剤と併用することで、髪の毛にコンディショニング効果を発揮することができるのです。
コカミドプロピルベタインの安全性
コカミドプロピルベタインは、安全性が高い成分とされています。
国際化粧品成分辞典(INCI)では、刺激性が低いと評価されています。 また、日本化粧品工業連合会(JCIA)では、皮膚や目に対する刺激性がないと判断されています。
さらに、欧州化粧品協会(Cosmetics Europe)では、皮膚や目に対する刺激性やアレルギー性がないと結論付けられています。
これらの機関の評価に基づいて、コカミドプロピルベタインは、人体に対して安全な成分であると言えます。
まとめ
コカミドプロピルベタインは、ヤシ油から得られる両性界面活性剤で、起泡・洗浄効果、可溶化効果、刺激緩和効果、コンディショニング効果などがあります。
また、コカミドプロピルベタインは、安全性が高い成分で、肌や髪に優しい成分です。
洗浄力の高いラウレス系の洗浄剤と合わせて使用されることが多く、コカミドプロピルベタインが配合されている製品とされていない製品で迷った際は、配合ありのものを選んでみて下さい。
個人の意見とはなりますが、ラウレス系でなくとも多くの人に対しては洗浄力は足りています。美しい髪を育てるために優しく洗いたいですね。
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