初級化粧品成分解説【ステアリルアルコール】とは

化粧品成分

ステアリルアルコールは化粧品に欠かせない!効果と安全性について解説

化粧品の成分表示には、さまざまな成分が記載されていますが、その中に「ステアリルアルコール」という成分を見かけたことはありませんか?

ステアリルアルコールと聞くと、アルコールという言葉に抵抗を感じるかもしれませんが、「アルコール」という名称がついていますが、化粧品で言うエタノールのような揮発性・刺激性はなく、脂肪アルコールといった分類です。

今回は、ステアリルアルコールについて、その基本情報、化粧品での配合目的、安全性について解説します。

 

先に結論

スキンケア品に配合される場合

  • 肌表面の細胞間を埋め、バリア機能を強化する。
  • 皮膜形成効果により、水分蒸発を防ぎ、肌を潤いのある状態に保つ。
保湿力を上げながら乳化した製品を作ることができ、優しい使用感となります。
 

ヘアケア品に配合される場合

  • 髪の表面をコーティングすることで、水分蒸発を防ぎ、髪の毛を柔らかくしなやかに保つ。
  • 髪の表面を滑らかにし、ツヤを与える。
  • 髪の毛を柔らかくし、指通りを良くする。
  • 静電気を抑制し、キューティクルを守り、ダメージを減らす。
トリートメントによく配合される成分で、つるっとした髪に仕上がります。
 

ステアリルアルコールとは?

ステアリルアルコールとは、炭素数18の飽和1価高級脂肪族アルコールで、化学式はCH3(CH2)16CH2OHです。

白色の薄片、粒または塊状のろう様物質で、油脂(やし油、パーム核油など)の金属ナトリウムによる還元で得られるオレイルアルコールを水素添加するなどの方法でつくられます。

ステアリルアルコールは、自然界にも存在する成分であり、医薬品や食品にも使用されることがあります

 

ステアリルアルコールの化粧品での配合目的は?

ステアリルアルコールは、化粧品において乳化安定化、感触改良、加脂肪などの目的で使用されます。

乳化安定化とは、油と水を混ぜ合わせてできる乳化物(クリームや乳液など)の安定性を高めることです。ステアリルアルコールは、油と水の界面においてその界面膜を強くすることで、乳化製品の経時的安定化目的で使用されます。

感触改良とは、化粧品のテクスチャーや使用感をよくすることです。ステアリルアルコールは、親油性がやや強く、油性基剤の粘稠性を向上することから、感触調整目的でスティック系メイクアップ製品やクリーム系製品に使用されます。

加脂肪とは、皮膚や毛髪に油分を与えることです。ステアリルアルコールは、洗浄製品に加えることで泡をきめ細かくし、かつ過渡の脱脂を抑制することから、皮膚・毛髪の保護を兼ねた泡質改善目的で主に洗顔料、シャンプー製品などに使用されます。

 

スキンケアにおける役割

ステアリルアルコールは、スキンケア製品において様々な役割を果たします。

乳化剤
油と水のような互いに混ざらない物質を乳化させる乳化剤として作用します。これにより、クリームや乳液などのスキンケア製品を滑らかな質感にし、安定性を高めます。

柔軟剤
肌を柔らかくし、なめらかにする柔軟剤として作用します。肌表面の細胞間を埋め、バリア機能を強化する効果が期待できます。

保湿剤
肌の水分を保持し、乾燥を防ぐ保湿剤として作用します。皮膜形成効果により、水分蒸発を防ぎ、肌を潤いのある状態に保ちます。

 

ヘアケアにおけるステアリルアルコールの役割

ヘアケア製品において、ステアリルアルコールは主に以下の役割を果たします。

乳化剤
水と油を乳化させる乳化剤として作用します。これにより、シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア製品で、水と油分が均一に混ざり合い、滑らかなテクスチャーになります。また、乳化を安定させる効果もあり、製品の品質保持にも役立ちます。

保湿剤
髪に潤いを与える保湿剤としても作用します。髪の表面をコーティングすることで、水分蒸発を防ぎ、髪の毛を柔らかくしなやかに保ちます。

ツヤ出し効果
髪の表面を滑らかにし、光沢を与える効果があります。髪にツヤを与え、美しい髪に仕上げます。

コンディショニング効果
髪の毛を柔らかくし、指通りを良くするコンディショニング効果があります。髪の絡まりをほぐし、櫛通りをスムーズにするのに役立ちます。

静電気防止効果
髪の静電気を抑制する効果があります。乾燥しがちな髪や、摩擦による静電気でお困りの方におすすめです。

 

ステアリルアルコールの安全性は?

ステアリルアルコールの安全性について、問題無いと考えられます。日本薬局方や医薬部外品原料規格に収載されており、40年以上の使用実績があります。

また、皮膚刺激性、眼刺激性、皮膚感作性(アレルギー性)についての試験では、ほとんどなしから最小限の範囲であることが報告されています。

もちろん、個人差はありますので、使用前にパッチテストを行うなど、自分に合った化粧品を選ぶことが大切です。

まとめ

ステアリルアルコールについて、基本情報、化粧品での配合目的、安全性について解説しました。

特にトリートメントでは重要なメイン成分であり、乳化、保湿、ツヤ出し、コンディショニング、静電気防止など、様々な役割を果たす重要な成分です。髪を滑らかにし、ツヤを与え、健康的に保つのに役立ちます。

化粧品の成分表示を見るときには、ステアリルアルコールの効果と安全性を知っておいてください。

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