化粧品にはさまざまな成分が配合されていますが、その中でも注目すべき成分のひとつが「エチルヘキシルグリセリン」です。
エチルヘキシルグリセリンとは、グリセリンの一種で、保湿効果だけでなく、抗菌効果や消臭効果も持つ優れた成分です。
防腐剤の使用を減らしたり、腋臭を防いだりするためにも使われています。
この記事では、エチルヘキシルグリセリンの基本情報や配合目的、安全性などについて詳しく解説します。
エチルヘキシルグリセリンとは
エチルヘキシルグリセリンとは、グリセリンのヒドロキシ基(-OH)に2-エチルヘキサノールが結合したグリセリルアルキルエーテル(グリセリン誘導体)です。
グリセリンとは、水分を保持する力が高く、保湿効果のある成分です。
エチルヘキシルグリセリンは、グリセリンと同じく保湿効果がありますが、それだけではありません。
エチルヘキシルグリセリンには、グリセリンにはない抗菌効果や消臭効果もあります。
これらの効果を活かして、化粧品には防腐補助や腋臭菌増殖抑制の目的で配合されています。
エチルヘキシルグリセリンは、構造的に安定であり、pHや温度の変化に強く、エタノールや多価アルコール類をはじめ各種油性成分とも高い相溶性を示します。
そのため、さまざまなタイプの化粧品に幅広く使用できます。
エチルヘキシルグリセリンの配合目的
エチルヘキシルグリセリンは、化粧品に配合される場合は、主に以下の2つの目的で使用されます。
- 防腐補助
- 腋臭菌増殖抑制による腋臭抑制作用
それぞれの目的について、詳しく見ていきましょう。
防腐補助
防腐補助とは、化粧品に配合される防腐剤の量を減らすために、防腐剤の効果を高める成分のことです。
防腐剤は、化粧品に微生物が繁殖するのを防ぐために必要ですが、過剰に使用すると肌に刺激を与えたり、アレルギーの原因になったりする可能性があります。
そのため、防腐剤の使用量はできるだけ少なくしたいというのが化粧品メーカーの願いです。
エチルヘキシルグリセリンは、防腐剤の使用量を減らすために役立つ成分です。
エチルヘキシルグリセリンは、特に敏感肌向けの化粧品において重要な役割を果たします。
敏感肌向けの化粧品は、肌に刺激を与えないように防腐剤フリーを謳うものも多くありますが、防腐剤がないと化粧品の品質が低下したり、腐敗したりするリスクが高まります。
そこで、エチルヘキシルグリセリンを使用することで、防腐剤フリーの化粧品でも安定した品質を保つことができます。
腋臭菌増殖抑制による腋臭抑制作用
腋臭菌増殖抑制による腋臭抑制作用とは、腋の下から発生する臭いの原因となる菌の増殖を抑えることで、腋臭を防ぐ効果のことです。
腋臭の原因は、アポクリン汗腺から分泌される無臭の汗が、腋窩の常在菌によって分解されることで発生する物質です。
その中でも、コリネバクテリウム属菌という菌が主な原因菌とされています。
エチルヘキシルグリセリンは、腋臭の原因菌であるコリネバクテリウム属菌に対して強い静菌作用を示します。
つまり、コリネバクテリウム属菌の増殖を抑えることができます。
そのため、エチルヘキシルグリセリンを配合することで、腋臭の発生を予防・防止することができます。
エチルヘキシルグリセリンは、デオドラント製品にもよく使用されます。
デオドラント製品は、腋臭を防ぐために、消臭剤や香料などを配合することが一般的ですが、エチルヘキシルグリセリンを配合することで、より効果的に腋臭を抑えることができます。
また、エチルヘキシルグリセリンは、肌に優しい成分であり、肌荒れやかぶれなどの副作用を起こしにくいという特徴もあります。
そのため、デリケートな肌の方にも安心して使用できます。
エチルヘキシルグリセリンの安全性
エチルヘキシルグリセリンは、化粧品に配合される成分として、その安全性が気になるところです。
エチルヘキシルグリセリンは、国際化粧品成分辞典(INCI)に登録されており、化粧品の成分として認められています。
また、日本化粧品工業連合会(JCIA)の安全性評価委員会によると、エチルヘキシルグリセリンは、皮膚刺激性、眼刺激性、感作性、光毒性、光アレルギー性などの試験で、安全性が確認されています。
エチルヘキシルグリセリンは、一般的には肌に優しい成分ですが、個人差によっては肌に合わない場合もあります。
特に、敏感肌やアトピー性皮膚炎などの肌トラブルを抱えている方は、使用前にパッチテストを行うことをおすすめします。
また、使用中に赤みやかゆみなどの異常が現れた場合は、使用を中止し、医師に相談してください。
まとめ
エチルヘキシルグリセリンは、グリセリンの一種で、保湿効果だけでなく、抗菌効果や消臭効果も持つ優れた成分です。
化粧品には、防腐補助や腋臭菌増殖抑制の目的で配合されています。
エチルヘキシルグリセリンは、肌に優しい成分であり、安全性も高いとされていますが、肌に合わない場合もありますので、使用前にパッチテストを行うことをおすすめします。
エチルヘキシルグリセリンは、化粧品に欠かせない成分のひとつです。
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